隣に眠る、永遠には続かないこの温かなぬくもりを、今は大切に大切に。:映画「おくりびと」
主人公の小林 大悟(本木雅弘)はプロのチェロ奏者として活動していたが、
ある日所属していた楽団の解散を告げられ、
昔、亡き両親と暮らしていた山形の空き家に、
妻の美香(広末涼子)を連れて引っ越すことになる。
すぐにでも手に職をつけたい大悟は、
「旅のお手伝い」と書かれた好条件の求人チラシに書かれた住所を訪ねる。
その仕事は想像していたような旅行代理業ではなく、
「納棺師」の仕事だった・・・。
主人公が初仕事の夜、妻を必死に求めるシーンが好き。
「死」に触れすぎて心のバランスが取れなくなっちゃったんよね。
そこで正反対のものを、「生」を必死で求めて、バランスを保とうとしたって感じ。
「死」は冷たくて硬くて。柔らかくて温かい「生」を必死で求めた。
そして妻には「生」が宿る。
冷たくなった人間を蘇らせ、永遠の美を授ける。
それは冷静であり、正確であり 、
そして何より、やさしい愛情に満ちている 。
別れの場に立会い、故人を送る。
静謐(せいひつ)で、全ての行いがとても美しいものに思えた。
人はいつか死ぬ。
でも今となりにいる人は温かい。
この永遠には続かない温かなぬくもりを、どうか大切に、大切に。